株式会社ヘンリー エンジニアブログ

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ヘンリーで初めて製品部室長合宿をしました

こんにちは。ヘンリー CEO / CPOの逆瀬川(gyaku)です。5月末に、製品本部で初めて部室長合宿を行いました。現在部室長を担っている人、今年部室長を担う予定の人、アーキテクトやEMなど将来の組織設計に関わるメンバー合計9名が参加し、2日間に渡り議論を行いました。

本日は合宿を開くことになった背景や合宿の当日の様子をお伝えします!

前提: ヘンリーの開発組織の現状・合宿を行った狙い

電子カルテは、病院業務の全てのデータを扱う基幹システムであり、CRM、ワークフロー、請求・決済などを司る巨大なソフトウェアです。

電子カルテの構成。CRM、ワークフロー、請求や決済などを司る巨大なソフトウェア

そのため、開発着手から6年たった今でも、全ての機能を網羅しているわけではなく、まだまだ提供すべき体験が多くあります。そのため、意識的に理想や中長期的な目線を持たないと、ついつい近視眼的になり、「今何をするか」「今週どこまで行けるか」を突き詰める開発になってしまいます。特に、1年前よりリニューアルプロジェクトを進めており、リリースが近づくにつれて日に日に目線が下がっており、解消する必要がありました。

また、製品開発の組織規模が40名を超えており、年内に組織規模が50名を超える予定です。元々、自律的なメンバーを前提に、それぞれが自ら役割を設定しボトムアップで柔軟に意思決定する組織形態を取っておりました。しかし、相互依存関係が多くかつ規模が大きいというプロダクトの特性もありサービスと組織規模が大きくなるに連れ、意思決定の影響範囲が大きくなり、製品や組織の意思決定がCPOである私に寄ってしまい、課題解決のボトルネックになるという課題がありました。

2024年末の組織図。私がストリームアラインドチームの2部長も兼務し、ボトルネックになりやすい構造。他に横串機能として、VPoEとVPoTが存在。

そこで、今年より意思決定と情報流通のハブとなる部室長を通じた分割統治を行い、なるべく小さなチームで独立的に意思決定が出来るように、コードベースも組織も変革していく取組みを進めています。分割統治後の世界では、CPOやVPoEなど役員だけではなく、多くの部室長がCPOやVPoEと同じ目線で事業推進を行い、メンバーにも浸透していくことが理想です。定期的な経営との目線合わせだけではなく、ボトムアップでの経営戦略への突き上げを実現するための活動が必要です。

2025年夏・秋の組織図。私がストリームアラインドチームの部長から外れ、分割統治のサポート側に回る予定。VPoEとVPoTは引き続き、横串機能として存在。

合宿の目的: 目標達成に向けた戦略とアクションをチームで描き、動き出す

爆速アウトプットを行動指針に掲げる弊社では、合宿が最終的に終了したタイミングで、目標達成に向けた戦略とアクションが言語化され、実際に「誰が」やるのかが決まり動き出すことが理想です。合宿のゴールも、認識合わせだけではなく実際に行動を動き出すところに置きました。

また、目標達成のためには、参加した部室長たちが各チームに戦略と課題を持ち帰り、実行していくことが重要です。認識のズレがなくなり、誰もが勝ち筋を自分の言葉で語れる状態を目指したアジェンダになっています。

ファシリテーションのプロフェッショナルであるEMのたぐっちゃんが、私やVPoE/VPoTの戸田さんから課題感や合宿でやりたいことを確認し、爆速で合宿のガイドを完成させました!

実際の合宿の進行ガイド表紙

今年の目標と2027年に向けて考える

目線を上げるためにも今年の目標だけでなく、2027年の目標とその障害について話しています。先に、2027年の組織像や2027年の事業イメージは共有しているのですが、そこにたどり着く道筋については具体的な施策については具体化されていませんでした。

そのため目標達成後の未来を想像し、現実とのギャップと情報の不足とを整理することで、「勝ち筋」を見つけ出し必要な施策を打てるようになるための議論を行いました。

合宿2日目。戦略、仮説を議論する様子

具体的な目標に関する言及は控えますが、ざっくり下記が目標です。

  • 今年: 既存の市場のお客様が、Henryを活用して病院のコア業務をスムーズに回すためのシステムを提供する
  • 2027年: 病院向け電子カルテだけではなく、医療・介護・自治体も含めた地域の理想像の実現ためのシステムを提供する

今年の目標だけ見ていると既存市場での体験差分だけを埋める開発になりますが、2027年を見据えると、今作っている機能も大病院など将来の市場で受け入れられる運用を想定して作っていく必要があることがわかります。また、組織としても電子カルテ・レセコンだけではなく、新規事業を力強く推進できる必要があり、採用や組織づくりの優先度が上がってきます。

課題の認識を合わせるために、戦略と仮説を書き出し、最終的にアクションに落とし込んだのですが、より納得感を生むために、「この話を進めるには何を知らなければいけないか?」を洗い出し、その場で調べるワークがあったのも特徴的でした。戦略や仮説の前提となる情報について、丁寧に認識合わせすることが少なく、こんな情報知らなかったんだとなるケースも少なくありません。調べた情報を元に、戦略、仮説に落とし込むことで短期間で質の高い戦略が言語化出来たと思います。

合宿1日目。仮説構築のために、不明点をその場で調べるワークの様子

この合宿を通じて、製品本部がどうなったか

最終的に、FY2025とFY2027の戦略と仮説が言語化され、解決すべき課題についてはアクションと担当者が決まりました。

最終的な成果物

その数、約50個!1人あたり平均6つが割り当てられています。各部室長が積極的に自分を担当者としてアクションのアサインをしていて頼もしい限りです。さらに、合宿の様子をSlackに投稿したところ、参加してないメンバーも自分もやるぞ!と表明してくれました!

Slackから課題解決に参加してきたメンバー

また、定性的なアウトプットとして、部室長の目線が上がったこと、部室長が各部室に持ち帰って議論し部室メンバーの目線が上がっていくことが期待されます。早速、ある部室では1on1で合宿の内容を議論した結果、メンバーからアクションの提案が出るなど効果が出はじめています!

今回参加した部室長からも「合宿をやって良かった!」という声が多く出ました。

ヘンリーの製品本部ではこのような合宿を定期的に行い、中長期戦略の更新と部室長を通じて部全体の目線上げを行い、規模が大きくなっても常に進化し、スピーディーに顧客価値を届けられる組織を目指していきます。

2027年には120名規模の開発組織を目指しており、部室も増えていく予定です。まだまだ開発者も部室長が足りておりませんし、戸田さんの兼務も解消していきたいと思っています。また、開発者のキャリアとしてはICとマネージメントの螺旋状のキャリアを推奨しており、両方あきらめたくない人にもおすすめです。

※螺旋状のキャリアについては、フェローのSongmuさんの思想からも大きく影響を受けています。(ご参考: OSSなどから学んだヒューマンスキルと経験を武器に。人生最大の挫折を越えてなおも歩む螺旋のキャリア)

もし、少しでも興味がある方は、カジュアルにお話できると幸いです。

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おまけ: 合宿の雰囲気