株式会社ヘンリー エンジニアブログ

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技術広報をすると何がいいのか? 〜得られる効果とコスパについて〜

こんにちは、ヘンリー開発者のタケハタです。
普段はエンジニアとしてプロダクトの開発をしつつ、技術広報ギルドという有志の横断組織で、技術広報の活動をしています。

本記事は株式会社ヘンリー Advent Calendar 2025 3日目の記事になります。
昨日はSREの(id:nabeop / @nabeo)によるなぜ AWS 移設をするのかでした。

目次

技術広報の成果は見えづらいとよく言われる

技術広報は「成果が見えづらい」と言われがちです。 売上に直結するわけでもなく、採用効果も長期的に見ていく必要があり、「施策を一つ実施したら即KPIが伸びる」という性質のものでもありません。 その一方で、ある程度の費用や人的工数はかかります。

そこで本記事では、ヘンリーが実際に取り組んできた技術広報の活動を例に、どのような効果が期待できるのか を具体的に紹介します。

効果として期待できるもの

まず、効果として期待できるものをいくつか紹介します。
主に採用とブランディングになってくるのですが、もうちょっと具体的に書きます。

認知の獲得

まず、会社の名前が知られているということはとても重要なことです。
例えば転職活動をしている時、転職エージェントで渡された大量の求人票をパラパラとめくっていると、名前を知っている企業でないとほぼ目に止まりません。スカウトサイトやSNSで大量のスカウトが来ている場合なども同じでしょう。

逆に聞いたことある企業であれば「なんか聞いたことあるな」と動機になりえますし、さらに"いい印象"を持った上で知っている企業であればとりあえず見てみようとは思えます。 もし本当に強い興味を持ってもらえていたら、「転職しようかな」と考えた時に自分たちの企業の名前を思い浮かべてもらえるかもしれません。

コネクションの形成

採用では候補母集団の広さが重要です。
仮にこちらが採用したいと思った人の候補が10人いたとして、その中で自分たちに興味を持ってもらえるのは2〜3人かもしれませんし、1人もいないかもしれません。その候補を増やしておく必要があります。

いわゆるタレントプールを充実させるという話ですが、そのためにも技術広報は有効です。
今はスカウト媒体やSNSでスカウトを送ってつながることもできますし、社員のリファラルで増やす方法もありますが、あくまで自分たちで見つけられた範囲の人にしかアプローチできません。

それに対して例えばイベントに登壇したりブース出展したりすると、不特定多数の人がこちらの話を聞きに来てくれます。
そこには自分たちの検索には引っかからなかった人や、そもそもオンライン上に現れないような人もいます。
スカウトを送っても見られずに終わるだけだった人が、イベントで自分たちに興味を持って来てくれて、話を聞いてもらえるかもしれません。

ブランド力の向上

エンジニアについて発信することで、自分たちの会社に優秀なエンジニアや、取り組みを発表することで組織の印象を上げることができます。
「この会社はこんなに優秀なエンジニアがいるのか」「こんなすごい取り組みをやっているのか」と思われれば、企業イメージが向上します。

また、技術広報をやっていることで"エンジニアに理解のある会社"というイメージも持ってもらいやすいです。
冒頭で書いた通りお金も工数もかかることなので、会社として理解がなければ基本的にできません。

社内のエンジニアのモチベーションとスキル向上

モチベーション向上

私がブログを初めて書いた時(発信を始めた時)は、義務感にかられてでした。
しかし、今はブログを書いたり登壇したりと、発信すること自体が楽しいと感じています。

その理由の一つとしては、見た人から反応をもらえるのが嬉しいです。
そんなに多いわけではなくても、社内外の誰かしらからポジティブな感想をもらえるのは嬉しいものです。

また、自社の説明やPRをするために語っていると、自分の組織のよさを言語化して理解が深まり働くモチベーションが上がることもあります。

スキル向上

また、アウトプットをすること自体が自分のスキルアップにもつながります。
自分がよく知ってる分野の技術でも、ブログや登壇ではより正確に伝える必要があるため、改めて調べて理解できてなかった部分に気づくことがあります。
また技術的な話でなくても、自分の考え方を言語化することで、強みや課題に気づくこともります。

あとはイベント出展などをしていると、前述のように多くのエンジニアと話す機会ができるので、自分の知らない考え方に触れて見聞を広げることにもつながります。

施策ごとの効果

もう少し具体的に、技術広報の施策と期待できる効果を紹介していきます。

技術ブログ

採用候補者へのPR

ブログが一番力を発揮するのは、採用の候補者が選考に進む前に読めることです。
その会社がどんなことをやっているのか、どんなエンジニアがいるかなど、読むことで雰囲気を掴むことができます。
候補者が読んで面白いと思う記事があれば、受けるか迷っている人へのPRにもなります。
人によっては定常的に発信していること自体に魅力を感じる場合もあります。

また、面談や面接で質問をされた時、その回答として合致する記事があれば渡すこともできます。
その場で説明するのは時間が限られてしまうので、より詳細に伝えることができるものが用意されているのは、とても有効です。

認知の獲得

あとは技術的な内容は、エンジニアの調べ物の検索に引っかかって目にとまることもあります。
記事が多ければそれだけヒットする可能性も上がり、目に留まる頻度が上がれば前述の認知の獲得にもつながります。

そしてもちろんバズる記事を書ければ、その単発で大きな宣伝効果を生む可能性もあります。
しかし、これはめったに起こらないものなので、積み上げが大事ということを意識する方が重要です。

イベントへのスポンサード、ブース出展

多くの人と会いプチカジュアル面談のようなことができる

イベントのスポンサーメニューで鉄板のブース出展は、とにかく不特定多数の参加者と直接話せることが有益です。
多くの企業でクイズやノベルティ配布などコンテンツを用意していますが、大事なのは来てもらった方に自社の話をできることです。
私は何度もブース出展に参加していますが、普段カジュアル面談などで話しているような内容を1日に何十人にも話していて、プチカジュアル面談を大量にしている感覚になります。

スカウトやエージェント経由などでこの人数感と合うには膨大な労力と時間がかかるので、お互い気軽に会って話せる場があるのはとても貴重です。
イベントのテーマに沿って話題も作りやすいので、面談などで話すのが苦手な人にも優しいです。

技術領域へのブランディングとしても有効

会社の使っている技術領域に関連する内容のカンファレンスなどでは、特にマッチする人が来てくれる可能性が上がります。
その領域への会社としての本気度も伝わることで、技術に関心の高いエンジニアが興味を持つ可能性もあり、ブランディングとしても有効です。

自社イベント開催

ブース出展は外のイベントを行ってのアピールする場になりますが、自社でイベントを主催するのはまた違った効果があります。

まず主催者なので、全面的に自社のことを打ち出すことができます。
また、会社を全面に打ち出したイベント来てくれる参加者なので、会社に興味を持ってくれた人も多くなります。
ブース出展などで興味を持ってくれた人に、「こういうイベントやるので来ませんか?」と誘い、さらに会社について深く知ってもらうこともできます。

一番は会社のファンになってもらうことが狙いになります。

ヘンリーで2025年にやってきた施策と成果

では、実際にヘンリーでやってきた施策と、得られた効果を紹介します。

やってきた施策

まずはやってきた施策です。
2025年は技術広報の活動が活発になり、多くのことに取り組みました。

技術ブログ

まずは本ブログです。 dev.henry.jp 月2本以上は書けるように運用しており、今月はQiita Advent Calendarに参加中のため更新も多くなる予定です。

ポッドキャスト

「理想駆動ラジオ」というポッドキャストもやっています。 open.spotify.com こちらはヘンリーの社員を一人ずつインタビューし、ヘンリーでの働き方やパーソナリティを深掘っていく形式になります。
「ヘンリーでどんな人が働いているのか?」を知っていただくためのコンテンツになっています。

スポンサー、ブース出展

以下のイベントにスポンサードし、ブース出展してしました。

技術書典18
技術書典19
CoLab Conf(コラコン) 第1回
CoLab Conf(コラコン) 第2回 ※12/13開催予定
Cloud Operator Days Tokyo 2025
Kotlin Fest 2025
アーキテクチャカンファレンス 2025

技術書典はスポンサードしていますが、ブースは有志のサークルとして申し込んで毎回本を出しています。

カンファレンス登壇

以下のカンファレンスでヘンリーメンバーが登壇しました。

CoLab Conf(コラコン) 第2回
Cloud Operator Days Tokyo 2025
Kotlin Fest 2025
アーキテクチャカンファレンス 2025

自社イベント(コラボ、コミュニティ参加含む)

自社イベントとしては以下を開催しました。

Henry Engineer Meetup #1
Henry Engineer Meetup #2
Henry Engineer Meetup #3
Henry Engineer Meetup #4 ※12/11開催予定
QAの理想を語らNight!
Server-Side Kotlin Night 2025

主には「Henry Engineer Meetup」が定期的な自社イベントとなっており、ヘンリーや医療に興味を持っている方や、社員の知り合いもお誘いしながらヘンリーの開発について知っていただく内容です。
また、Kotlin Fest 2025の非公式アフターイベントやQAに関するイベントを開催したりと、技術領域にフォーカスしたイベントも行っています。

他社コラボイベント

さらに他の企業様ともコラボして、以下のようなイベントもやっています。

シネマ de LT会〜あなたのナレッジ大上映〜
HealthTech Meetup
HealthTech Meetup vol.2
Server-Side Kotlin LT大会 vol.14
Server-Side Kotlin LT大会 vol.15
Server-Side Kotlin LT大会 vol.16

ヘンリーはServer-Side Kotlin Meetupというコミュニティに会社として参加しており、「Server-Side Kotlin LT大会」はそのイベントになります。
最近はHealthTech Meetupという医療系のテック企業による合同イベントも立ち上げており、多くの方にご参加いただいています。

ヘンリーで得られた効果

実際に得られた効果を紹介します。

採用の中で聞いた声

まず、面談などでお話した方から以下のような声をいただきました。

  • ブログの記事がいっぱいあったので見て雰囲気がわかった
  • ポッドキャストを聞いてどんな人がいるのかわかった
  • Kotlin Festでスポンサードしているのを見てヘンリーの名前を知った
  • 技術書典の記事で興味を持った
  • 候補にしていた企業の中で、選ぶ際に発信しているかを足切りに条件にしていた

やはりブログは面談や選考に来ていただいた候補者の方が、会う前に情報を得るために読んでくださっていることが多かったです。
ポッドキャストも同様の効果がありますね。

スポンサード、ブース出展で知ったという声も非常に嬉しいものでした。
より多くの方に知っていただくためにやってきた施策なので、こちらも期待した効果が出始めていると言えます。

自社イベントから選考につながった

主な自社イベントであるHenry Engineer Meetupでは、そこで興味を持ち選考に進んでいただいた方もいます。
ヘンリーのエンジニアによる発表もありますし、それ以外の社員も多く参加し会社のことをお話しするので、働くイメージが具体的になって決められたようです。

社員の知り合いの方や、過去にカジュアル面談などでお話した方で「もう少し話を聞いてみたい」という方をお招きすることもあります。
もちろん「このイベントに参加したから絶対選考を受けてくれ」というわけではなく、あくまでヘンリーや医療ドメインの面白さを知っていただき、将来的にでも興味を持った時にご一緒できたら嬉しいと考えています。

カジュアル面談数の増加

2024年末と比べて、右肩上がりに増えています。

カジュアル面談数の推移

人事の方でスカウト強化などの動きを他にもしているので、すべてが技術広報の効果というわけではありません。
しかし会社としての露出が増えたことで認知され、スカウトで返信していただけることが増えたり、前述のようにイベントに参加して決めていただいたりと着実につながっています。

前提として、施策1つで直接的な効果は出にくい

効果を色々と書きましたが、施策を1つやっただけで直接的に採用などの効果につながることはまずありません。
例えば大きなカンファレンスに初めて登壇者を出したとして、いきなり「あのセッションを見て入りたいと思いました!」とは普通なりません。
ブログなども数記事書いていきなりバズって、「あの記事を見て転職したいと思いました!」となる人もまずいないでしょう。

なのでやはり積み上げが大事です。
いざ転職しようと思った時に、多くの人が「そういえばヘンリーって会社あったな」と思い浮かべるようになったら勝ちです。

コスパってどうなの?

技術広報に価値があること自体は知っていただけたかもしれませんが、ではそのコストパフォーマンスはどうなのか?と考える人もいるのではないでしょうか。

他の採用やPRをした時の比較をした時

採用は必要なコストが高い

採用やPRは基本的にお金と労力がかかります。
採用に関してはエージェントやスカウト媒体の利用料、サービスによっては成約手数料がかかる場合もあります。PRのために広告を出すのも、もちろん費用がかかります。
さらにそのお金と労力をかけても、自分たちの求めている人と出会うまでには何十人もの人と時間をかけて会う必要があり、さらにそこから候補者から自分たちを選んでもらう必要があります。

技術広報でかかるコスト

それを考えると、一見労力が大きいように見えるブース出展などの活動も、コスパは悪くないのではないかと考えています。
例えばブース出展であれば、使うコストとしては主に以下のようなものがあります。

  • お金
    • スポンサー費(ブース出せるプランは大体100万前後〜)
    • 配布するノベルティ制作(新規に作成する場合)
  • 作業
    • 運営との事務的なやり取り
    • ブースコンテンツの企画、制作
    • ノベルティの考案(新規に作成する場合)
    • 会場への発送対応
    • 当日のブース対応

これらは広報に関わるメンバー何人かが中心になって、必要に応じて社員に協力を仰ぎながら進めます。
ただ、通常の採用でも前述のようにスカウトや面談・面接の工数や、様々な手数料などの費用がかかります。
なのでそこの差分はあまりないと考えています。

その上で採用以外の効果もある

その上でさらにやることでスキルアップやモチベーション向上につながるという効果も得られます。
さらにヘンリーでは、今のところ協力してもらったメンバーはみんな楽しみながらイベントなどに関わっており、「楽しく採用・PRに関われる」というところも隠れたコスパの良さだと思っています。

もちろんどちらがいいというわけではなく、両軸でやる必要があります。
採用サービスの活用をある程度やりきっている企業であれば、単純にそこにさらに多く工数をつぎ込むよりも、新たな層にアプローチできる可能性がある技術広報に工数を使うのは有効な選択肢になります。

その工数をエンジニアが開発に使ったほうがいいのでは?

広報のような活動は、開発が忙しくなってくるとどうしても後回しにされがちです。
技術広報もエンジニアの力が必要になってくるので、「その工数を開発に使ったらもっとリリース早められるのでは」と思う人もいるでしょう。

採用を止めないのであればやるべき

しかし、それは「エンジニアが面談・面接する時間を開発に回した方がいいから採用止めよう」と言っているのと同じようなことだと思います。
ここまで書いてきた通り、技術広報は採用施策の一つとしても多くの効果が見込めます。
今後も採用を続けて、組織を拡大していくような想定があるのであれば、そのための手段の一つとしてやっておくことは強くおすすめします。

社員のエンゲージメント向上にもつながる

また、この活動により社員のモチベーションが上がり、会社で長く働くことにつながるのであればそれも大きなプラスです。
広報活動に参加したり、広報の成果を見て自分のいる会社を好きになり、3年で辞めてたかもしれない人が10年働いたらそれは1人採用する以上のとてつもない成果です。
私も技術広報ギルドに参加していることが、ヘンリーで楽しく開発できている理由の一つでもあります。
開発だけをやっていたら、今ほどヘンリーのよさを語れなかったと思いますし、技術広報のおかげでより価値を感じながら開発ができています。

組織を拡大していくのであれば技術広報の価値は高い

繰り返しになりますが、組織の拡大をするつもりでエンジニアが必要なのであれば、技術広報をする価値は非常に高いです。
もし「やりたいけど、どれだけ価値があるのかわからない」「成果が見えないので続けるモチベがない」と思っている方がいたら、この記事を参考に自信を持ってやっていただけたら嬉しいです。

ヘンリーでは来年以降もさらに積極的な技術広報の活動をしていこうと考えていますので、イベントなどで見かけた時はぜひお立ち寄りいただければと思います。

告知: 「Henry Engineer Meetup #4 電子カルテ開発の学びと働くリアル」を開催します!

最後に告知です。
本記事の中でも書いていた、「Henry Engineer Meetup」の#4を開催します!

henry.connpass.com

もしこのブログを読んでヘンリーに興味を持っていただいた方は、ぜひお越しください。